VOICE SPIRIT
お客様本位とは何か。
お客様が「ほしい」と思っているものは、
はたして「本当にほしいもの」なのか。
あるいは「真に必要なもの」なのか。
その見極めをしないままに
「はい、つくらせていただきます」とは言えません。
「風邪だから注射してほしい」と患者がいう。
「はい、よろこんで」と注射を打つ。そんな医者はいないはずです。
まず、診察する。
事に当たるのはそれからです。
診察しなければ事に当たりようがない。
お客様のいう「ほしいもの」を提供するのは
そんなにむずかしい話ではありません。
むしろ、ラクです。
「こんなデザインにしてほしい」に対して
「こんなデザイン」を提供することは仕事と呼べないくらい容易です。
ラクしてフィーはいただけない。
「お客様が求めるものを提供する」といえば聞こえはいいですが、
それがお客様本位なのかは疑問です。
お客様が求めていても、それが誤ったものであれば
助言させていただかなければならない。
黙認はできない。
誤っているかもしれないと疑いつつも
「注射してほしいというなら注射しましょう」
というのはプロのふるまいとは言いがたい。